9月5日

0623 飯田発 飯田線 クハ312-3018
 飯田の朝。まずは初電を掴まえて、早朝の天竜峡を散歩。完全な曇天で、緑と灰色の世界だった。天竜峡は渓谷というほど狭い感じではなく、その規模の大きさに圧倒される。吊橋は想像していたより遥かに高い。アマガエルが一匹、吊橋の上に居た。一度に20人は乗って欲しくないような印象だった。ヒヤヒヤしながら渡り切る。天竜峡では地元のランナー1人にしか会わなかった。

 8時半前に叔母が車で来てくれた。ここからはドライブ。古墳、小笠原書院をメインに見る。
小笠原書院は懸造の書院で、1624年創建。開口部が非常に多く開放的で、雲障子がある。また雨戸を用いているのは当時の最新技術の一つといえるようだ。格天井で格式の高い一の間と、そうでない二の間があり、その境の部分の廊には杉戸が設けられている。付書院の位置は少し不思議な場所にある。柱は非常に良質な檜が用いられていて、節は何処にも見当たらない(昭和の修理の1本が実に節だらけで対照的であった)。唐破風の曲線も美しく、初期書院の特徴をしっかりと持っていると言えるだろう。
御門坂ではヤマカガシ?が我々の前を横切り(長寿寺でも蛇に出会ったのでこの旅行2匹目)驚く。
そしてアキアカネが居たのも印象的。懸造部分では追掛大栓継が実用されているのを見つける。アザミの花が綺麗に咲いていた。

 さらにドライブを楽しみ、時間はあっという間に経っていった。駅近くのスーパーでソフトクリームをご馳走になったところでタイムリミット。飯田線に乗車、北上を再開する。

1131 飯田発 飯田線 クモハ213-5006
 213というマイノリティ?に乗車。相変わらず長い路線であり、最後の区間は眠る。
 岡谷に到着してから中央線の接続がひどく悪いので、暫く待つ。

1427 岡谷発 中央本線 クモハ115-1070
 下諏訪へ移動。一駅。
 下諏訪の観光は昨晩の叔母達との食事の際に決定したプランである。諏訪大社をメインに、幾つか寺があり、古い街並みもあるというので、行く事に。
 まずは慈雲寺。禅寺であり、山門は美しい禅宗様、鐘楼も組物が非常に多い造り。八角堂を新築しており、大工2人が作業していた。たまたま中を見せてもらうことが出来た。「材料半分手間半分」というらしく、やはり面倒なプロセスは全ての部材を造るところだという。なるほど一つとして直線の部材は無い。垂木ですら一本一本が曲線を描いているのだ。国有林産の樹齢300年もののヒノキをふんだんに使っている未だ壁の無い八角堂からは、森の中よりも強烈に森の香りがした。
続いて諏訪大社春宮。こちらは大隅流。いやはや物凄い彫刻である。幣拝殿という形を持つ。18世紀の建築。
そしてぐるりと歩いていき、来迎寺に立ち寄り、秋宮へ。こちらは立川流、手水舎から既に鳩の彫刻が美しい。植物のようなモチーフが象徴的で、木鼻には象と虎が90度ずれて飛び出している。どこを切り取っても豪華な彫刻の数々であった。

 さて、見るところは見た。駅方向に歩いていくが、特に何も無いので、比較的時間を余して到着。

1713 下諏訪発 中央本線 クハ115-1136
 車窓の遠く、山々の向こうに太陽は沈んでいった。ここに来てようやく旅の終わりを認識することになった。未だ帰りたくない、その思いとともに身体は無情にもモハに押されていくのだ。

1952 大月発 中央線特別快速 サハE233-521
 233の車内の記憶は全くといっていいほど残っていない。気付けば三鷹、寝ぼけ眼で快速に乗り換える。

2115 三鷹発 中央線快速 サハE233-516
 最終的には、突然吉祥寺に帰着。ぽいっと非日常から日常の海に投げ入れられたような、いつもと真逆の錯覚に陥った。


 振り返ればあっという間の旅行、駆け抜けた。序盤の撮影は体力と頭脳、そして撮影技術のみを駆使しながら感性に頼る楽しい時間であった。とりわけ奈良線の撮影は良かった。ウグイスなら夏の緑と、という思いが強くあったので、その達成という意味でも大きい収穫であった。
 今回は定位置的観光はほぼ無かったので、今までの旅行とは動き方なども大きく異なっていた。良いものに巡り合う事は出来たが、偶然性というものは比較的殺してしまったかもしれない。これが難しいところである。計画のみ消化するのは一定以上の面白みは生まない。
 103系各色との再会を果たし、大事な友人との再会を果たした。古建築の魅力を、勉強後に見ることにより改めて再認識した。多少薄味ではあるのだが、それでも大きな意味を持ち、それまでの非日常的な日常をリセットしていくかのような旅行であった。教訓としては、ビジネスホテルは無難なところに宿泊すべき、そして都心の駅撮りの撮影はもうそろそろやめておこうかということか。
 12日から再度旅行が待ち構えている。こちらに向けて、教訓にせよ腕にせよ知識にせよ、今回得たものを上手く生かしていきたいところだ。



以上、関西旅行記のコピペ連載を終わろう。

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